怪物はもう出ない…佐々木朗希の登板回避問題が変えたもの「甲子園と令和の怪物」著者が語る

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「チームの特色が自分に合っているかを重視する子が多い」

 ──と、言いますと。

「よく『大阪桐蔭は全国から部員を集めている』といわれていますが、それは正確ではありません。大阪桐蔭に勧誘される子は、他の強豪校からも勧誘されているケースがほとんどです。中には50校から勧誘された子もいたほど。そうやって中学生が強豪校を品定めし、進学先を決める。つまり、大阪桐蔭は『集めている』と同時に中学生に『選ばれている』。利害関係が一致していることを第三者が批判することは抵抗を覚えますね」

 ──甲子園出場が絶対の条件ではなくなっているわけですね。

「甲子園に行きやすいかどうかの基準で進学先を選ぶ子も、もちろんいますが、現実的にプロを目指している球児はそれがすべてではなく、自分が最も成長できる道を探っているように思います。今はチームの特色が自分に合っているかどうかを重視する子が多い。『この学校は練習でも投球制限があるから肩を消耗しない』という理由で進学先を選ぶケースもある。ひたすら投げ込ませる学校や監督が暴力を振るう学校は、強豪校でも敬遠される。そうしたことは大人より中学生の方が敏感ですから」

 ──昔のようにひとりで投げ抜く「怪物」が出てこないのも無理はない、と。

「そうした昔のやり方しかできない学校は甲子園で勝てなくなっている。高校野球ファンとしては、また『怪物』が出てきてほしい、という気持ちもありますけどね」

(聞き手=阿川大/日刊ゲンダイ)

▽柳川悠二(やながわ・ゆうじ) 1976年、宮崎県出身。2000年のシドニー五輪から6大会連続で夏季五輪を現地取材。高校野球は05年から取材し、16年には「永遠のPL学園」(小学館文庫)が第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。ノンフィクションライター。

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