プロデューサー康芳夫氏が語る 幻となった世紀の一戦「“人食い”アミンvsアントニオ猪木」

公開日: 更新日:

特別レフェリーはモハメド・アリ

 そんな康氏が企画し「もし実現していたら……」と語る幻の一戦がある。アントニオ猪木vsウガンダのイディ・アミン大統領の異種格闘技戦だ。

 しかも、特別レフェリーはアリである。アミン大統領は“黒いヒトラー”“人食いアミン”と呼ばれたアフリカの独裁者で、ボクシングの東アフリカヘビー級チャンピオンという経歴の持ち主。身長193センチの巨漢で、かつては英国植民地兵として日本の岩国基地を訪れたこともあり、猪木との一戦には前向きだったという。

■赤塚不二夫が「リングサイドの席は全部買う」

「決め手になったのはアリです。アミンもイスラム教徒でアリのことを大変に尊敬していたから、アリがレフェリーをやると言ったら即OKになった。試合会場はウガンダの首都のサッカー場の特設リング。漫画家の赤塚不二夫君なんて“こんなシュールなことが実現したら僕は漫画家廃業だ。リングサイドの席は全部買う”なんて言ってくれましたよ。で、79年1月に記者会見も開いて、試合も6月だと発表したらウガンダが内戦状態になってアミンが失脚して、サウジに亡命してしまったんです。これは実現できなくて、本当に残念でした」

 2003年にアミン大統領が亡くなった際には康氏と猪木は弔電を打ったという。

「アリもそうだし、一緒にネッシーを探しに行った(石原)慎太郎さんも亡くなった。そして今度は猪木君か。さみしい気持ちはあるけど、往事渺茫ということだろうね。合掌」

(聞き手=米田龍也/日刊ゲンダイ)

▽康芳夫(こう・よしお)1937年、東京生まれ。海城高校を経て東大卒業後、世界的プロモーターとして活躍。トム・ジョーンズ来日公演、国際ネッシー探検隊、オリバー君招聘、アントニオ猪木対モハメド・アリほか奇想天外な企画の数々で世間をアッと言わせる。出版では戦後最大の奇書「家畜人ヤプー」をプロデュース。自称「虚業家」。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情