著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

日本ハムを自由契約 金子千尋と変化球の魅力は…スローカーブの「176勝投手」を想起

公開日: 更新日:

「ファンのみなさんに全力で変化球を投げるところを見てもらいたい」

 これが私はとても好きだった。当時のプロ野球マスコミといえば、古い野球観をずっと引きずっているのか、地上波中継の視聴率獲得には「わかりやすさが命」だという一種の呪縛(事実とは限らない)にとらわれているのか、あるいは単なる清原和博的な価値観の信望なのか、とにかく「オールスター=直球勝負が醍醐味」という類型ばかりがはびこっていて、その単純さやマンネリズムに私は辟易していた。

 だから、金子の先述の発言は一種のカウンターカルチャー的な魅力に富んでいた。150キロ超のストレートを平気で投げられる当代一の大エースが、直球勝負というカビが生えたロマンに一石を投じるかのごとく「変化球推し」をアピールしたのだから、思わず拍手を送りたくなった。金子は野球の奥深さを体現してくれる新星だった。

 細身で涼しげでファッショナブル、それでいて飄々とした口調で変化球へのこだわりを語る。そんな投手が球界の頂点に立ったわけだから、これからおもしろい時代が到来する予感がした。それだけに以降は故障による苦難が続き、少しずつ成績が下降していったことは残念でならない。今季終了時点で通算130勝は金子の全盛期を思えば少ないように感じる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々