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Ricardo Setyonジャーナリスト

リカルド・セティオン 1963年生まれ。サンパウロ出身。中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材。スポーツジャーナリストに転身し、8カ国語を操りながらブラジルメディア以外にも英「ワールドサッカー」、伊「グエリン・スポルティーボ」など幅広く執筆。BBCのラジオ番組にも出演。98年、02年のW杯期間中にブラジル代表付き広報を務めた。現在もジーコ、ロナウド、ロナウジーニョ、カフー、ドゥンガら大物との親交も厚い。13年コンフェデレーションズカップではFIFA審判団の広報。国内では「ワールドサッカーダイジェスト」「スポルティーバ」などでコラムを執筆中。ブラジルのマッケンジー大、パナマのパナマ大、イスラエルのハイファ大などでスポーツマネージメントの講義を行う。自他ともに認める「サッカークレージー」。

W杯スタジアムの工事現場は「地獄のような環境」 事故や熱中症で6500人超の労働者が落命

公開日: 更新日:

 ボンジーア!(こんにちは!) ボクは10日にカタールに入ったよ。あんまり盛り上がっていないな。というのも問題が山積しているからなんだ。

 カタールが巨額の費用を投じ、彼らが満足するリッチなW杯を実現しようとしていることは、これまで話してきたよね。だけど、その舞台となるスタジアムは、多くの犠牲者の上に立っているんだ。

 カタールの人口は約290万人。実はカタール人は10%しかいない。あとは南アジアやアフリカからの労働者がほとんど。W杯関連の工事も彼らが担っていた。

 クレージーな数字を見て欲しい。英紙ガーディアンの報道によると、カタールが開催国に選ばれた2010年12月以降ナント! 6500人を超える労働者が命を落としたっていうんだ。死因の多くは工事中の事故、そして熱中症だ。

 ボクはこの4年間で計5度、カタールの地に足を運んだ。「W杯の本当の姿を知るためには、その過程も見ないといけない」というのがボクの持論だからだ。

 ある時はインド人の労働者にヘルメットを借りて、工事現場に潜入したんだけど、彼らの労働環境はホントにホントに酷くて、まるで地獄のようだった。気温50度の炎天下で何時間も働かされ、飲料水はすぐにお湯になってしまう。母国に逃げ帰りたくても「雇用主にパスポートを取り上げられている」と嘆いていた。

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