新谷仁美ヒューストン・マラソンV 日本歴代2位の好時計でもパリ五輪「出ない」明言のワケ

公開日: 更新日:

 女子の1万メートルとハーフマラソンの日本記録を持つ新谷仁美(34=積水化学)は、15日のヒューストン・マラソンで日本歴代2位の2時間19分24秒で優勝。それでも、野口みずきが2005年にベルリンで樹立した日本記録(男女混合)に12秒届かず、悔し涙を流した。

 目標は達成できなかったものの、日本女子の19分台は18年ぶり4人目。高橋尚子、野口は五輪の金メダリストだ。新谷も来年のパリ五輪にメダルの期待がかかるが、本人は「出ません」ときっぱり言った。次の目標は「4種目での日本記録更新」。今年の春夏に5000メートルを、マラソンは9月のベルリンで再度、野口の記録を破りにいく。

 国内女子で4種目の日本記録を出した者はいない。偉業達成にこだわる気持ちは理解できるが、パリ五輪のマラソンを走る姿を見たいファンも多いはずだ。だが、ある実業団の指導者は「新谷は賢明です」と、こう語る。

「新谷は1万メートルが“本職の”スピードランナーです。9月のベルリンも男子のペースメーカーがいて、記録が狙える世界最速コース。昨年は五輪連覇中の男子のキプチョゲが2時間1分9秒で自らの世界記録を更新。女子も世界歴代3位の2時間15分37秒が出た。高橋、渋井(陽子)、野口が19分台で走ったのもべルリンです。新谷はプロ意識が高く、4つの日本記録を更新することがスポンサーへの恩返しになると考えている。それはプロである自分の商品価値を高めることにもつながる。新谷なら5000メートルの記録(14分52秒84)更新は難しいことではないし、今回の走りを見ればベルリンでの記録破りも十分にある。一方の五輪マラソンはペースメーカーはつかず、有力勢のペースの上げ下げによる消耗戦で時計は度外視。新谷の持ち味で勝負になるレースではありませんから」

 さすがプロランナーだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった