岡田監督の“タテジマ愛”秘話…阪神以外なら「プリンスホテル」入団で2年後に再挑戦

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 岡田監督のトラ愛はまさに筋金入り。それを象徴する話がある。

ドラフト6球団競合

 1979年のドラフト会議。大学球界屈指のスラッガーだった早大・岡田選手には阪神のほか、ヤクルト西武南海、阪急、近鉄の6球団が競合した。結果、少年時代からゆかりのある相思相愛の阪神が交渉権を得るのだが、「あの時、もし阪神が当たりクジを引いてなかったらどうしてましたか?」。そう尋ねた時の返答がこれだった。

「プリンスホテルよ。できたばっかりのな」

「石山さんもおったしな。そこで野球をしていたと思うで」

 石山さんとは早大時代の恩師のこと。3年時の78年秋季リーグで3冠王の岡田選手を中心とする打線が猛威をふるい、江川卓投手を擁する全盛時の法大を撃破してV。石山建一監督はこれを置き土産に勇退し、翌79年から社会人・プリンスホテルの創部1年目の指揮を執っていた。

 当時は逆指名も自由獲得枠もない。同時に、部訓に「品位尊重」をうたう早大野球部の主将だった岡田選手は「阪神以外なら社会人入り」といった姑息な手段も用いなかった。といって当時はFA制度もない。意中外の球団ならほぼ永久にタテジマに袖を通せない。

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