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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米球界を悩ませるイスラエルとハマスの軍事衝突 暴力や憎悪を否定する声明を出した裏側

公開日: 更新日:

 特に欧州や南米のリーグでささいなことから観客同士の衝突が起こる光景が珍しくないサッカーだけに、MLSも事前に無用の混乱を回避する目的で試合会場の統制を図っていることが分かる。

 大リーグも例外ではない。球団経営者の多くが支持する共和党も、一定の割合の選手が期待を寄せる民主党やバイデン政権も、いずれも親イスラエルという点では共通しているし、球界にはユダヤ系の経営者や選手も少なくない。

 しかし、例えばアラブ首長国連邦、インド、パキスタンを本拠地とする4球団により中東初のプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」が発足し、今年11月に最初の試合を開催するという現状を考えるだけでも、球界の対応は難しいものとなる。

 すなわち、大リーグ機構が直接関与していないものの、機構が望む未開拓の地での野球の普及が緒に就く中で、どちらか一方に肩入れすれば、その機運もしぼみかねない。

 機構が侵攻開始から3日後にハマスによるイスラエルへの侵攻を非難しつつ、あらゆる暴力や憎悪を否定することで間接的にイスラエルにも自重を促した声明を出したことは、球界の苦悩を示しているのである。

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