著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

パリ五輪直前の国民議会解散「危険な賭け」に打って出た仏マクロン大統領に見る「スポーツ思考」

公開日: 更新日:

 フランスのマクロン大統領が突然、同国の国民議会解散を発表して世界に激震が走った。6月初旬に行われたEU議会選挙が極右政党の大勝利に終わった直後の決心に、「危険な賭け」との批判が正論に聞こえる。しかし、私はこの決断にマクロンの「スポーツ思考」を見た。スポーツ思考とは、私が提唱している「思考法」の名称であり、1998年から主筆しているメールマガジンのタイトルでもある。

 人が考えを巡らす時、物事を見極めじっくりと考える方法を取るのが通常である。しかし、瞬時に考えて行動に移るしかない場合もある。それはスポーツを行っている時に頻繁に現象する。例えば、サッカーで自分にパスが来て、これをどうしようかゆっくりと思考している時間はない。即座に判断してトラップをするなり、ダイレクトでパスを出すなりの決心が必要だ。あるいはピンポンを上手にラリーしているのに、突然ラケットを意識した瞬間に失敗することがある。無意識でコントロールされている行為が理にかなっていることになる。

 EU議会選挙の極右大勝利の強烈なシュートに対し、マクロンは瞬時に「これでいいのか?」と問うパンチングで逃れようとしたのだ。そのマクロンのパスをフランス国民はどうトラップするのか? 6月30日に行われた総選挙の第1回の投票結果は、右翼「国民連合」が推計得票率で3割を超え、マクロン率いる与党連合は3番手と苦戦。現時点でマクロンの「賭け」が失敗に終わり、極右政権誕生の危険性を唱える論評が主流だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」