松井秀喜が「長嶋監督」と邂逅したカンザスシティーの夜…“米国のへそ”にある和食屋は畳に掘りごたつまで
松井がヤンキースに入団して2年目、2004年9月中旬のことだ。シーズン終盤にさしかかっていたヤンキースは遠征中で、ボルティモアからカンザスシティーに移動した。
ミズーリ州カンザスシティーは北米大陸の中心を流れるミシシッピ川支流ミズーリ川のほとりにある。別名「米国のへそ」。ジャズやカンザス牛のステーキで知られる。
松井はナイター後、食事に出掛けた。前年から食べていたステーキはさすがに食傷気味。たまには日本食が食べたいと思っていると、そんな店があった。個室には畳が敷かれ、おまけに掘りごたつまである。松井は「なんか得した気がした」とか。そこで、しゃぶしゃぶを食べていると、店主に「長嶋監督が20年ほど前に来たことがある」と聞かされてビックリしたそうだ。
当時、長嶋さんはアテネ五輪の日本代表監督だったが、この年の3月に脳梗塞で倒れた。それだけに松井は思わず、リハビリに励む恩師の姿を思い浮かべたに違いない。
4日早朝、帰国した松井は長嶋さんの自宅に弔問に訪れ、「2人きりでずっといろいろな思い出を呼び起こしながら過ごしていました」と言った。