ミスターのミスで星野監督は大笑い 「ピッチャー小野」のコールでブルペンから出てきたのは「河野」だった
私の耳には確かにそう聞こえた。
「オノ、ですね」
「そう、そう」
それを受けて私は場内アナウンス嬢に「巨人のピッチャー小野」と告げた。長嶋監督はそのままベンチに下がった。そして球場内に「巨人のピッチャー〇〇に代わりまして小野」のアナウンスが流れた、ちょうどそのとき、河野がグラウンドに足を踏み入れた。
私も驚いたが河野はもっとびっくりしたはずだ。場内アナウンスを聞いてその場でズッコケていたからだ。
野球規則では救援に出た投手はそのときの打者あるいは代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。このケースでは、球審から通知を受けて場内アナウンスがなされた時点で小野は打者に投げる義務が生じる。ところが出てきたのは小野ではなく、河野である。背番号はもちろん体つきも全然違う。
アナウンスを聞いて長嶋監督が慌てて引き返してきた。
「河野だよ、河野!」