俺がDHでも試合前のシートノックに出続けた思惑…ベンチでふんぞり返るだけはイヤだった
DH。「指名打者」と呼ばれるそのポジションは、守備に就かない。そのせいか、「守備をしないから楽だ」と見られることもある。でも、同時に打撃で結果を出すことが絶対条件。打たなければ評価されない、責任の重いポジションでもある。
2008年8月、前年まで日本ハムでプレーしていたセギノールが加入した。楽天の選手としては13日の西武戦で一軍デビュー。「6番・DH」で先発起用された。俺は「5番・一塁」。それまでずっとDHだったが、久しぶりに一塁を守った。
15日の試合では俺がDHでセギが一塁。交互に一塁を守るような形だった。あるとき、セギがヘッドコーチだった橋上秀樹さんを通じて、野村克也監督に「足が痛いからDHがいい」と直訴したらしい。日本ハム時代にDHだったこともあって、要望を出したのだろう。
すると、野村監督はセギノールにこう言ったという。
「DHは山﨑や。おまえは一塁。守るのが嫌なら出んでええ」
直接聞いたわけではなかったが、後日、その話を聞いたときは、率直にすごくうれしかった。守備に就かないことで安易に見られがちなDHも、ひとつの重要なポジションとして扱ってくれていることに感激した。
俺はDHで出る日も、試合前練習のシートノックはほぼ毎回出ていた。すべてはその試合に入りやすい体をつくるため。もちろん、やりたくないなあと思うときもあった。でも、体の準備のひとつとして汗を流しておくべきだと思ったし、後輩からの「目」もあった。
楽天では一番の年長者で番長。後輩たちには野球に対する姿勢や態度について、散々キツく言っていた。その俺がDHだからとふんぞり返っていたら、どう思われるだろう。正直、「俺はちゃんとやっているぞ」というところを見せたい部分もあった。
DHは守備に就かないため、ゲームへの入り方が非常に難しい。プロ入りから16年間、中日でプレーしたセ・リーグ出身。慣れるまでに時間がかかった。一塁を守っているときは、体の状態を自分で把握できるし、グラウンドにいることで本気の汗が出る。
「いつものようにアップはしてきたけど、今日は体が思うように動かないな……」
守備に就くと、そんな不安や考え事が少ない状態で入ることができた。
ちなみに、星野仙一監督はDHというポジションが嫌いだった。特に、俺にはたびたび、「おまえは守れ。守って(状態を)仕上げろ」「おまえは守って出た方が結果が出るタイプや」と言っていた記憶がある。
まあ、その割にセ・リーグのとき(中日時代)は、七回くらいになるとすぐ代打を送られ、最後まで守らせてくれなかったけどなあ(笑)。


















