繰り上げ受給を選ぶのはどんな人? 低年金シニアを惑わす税と社会保障のカオス
【第3回:年金の「繰り上げ受給」は得か損か・後編】年金の「繰り上げ受給」を選択したCさんの場合
「人生100年時代のロールモデルがいない」――退職後のサラリーマンが迷走している。キャリア、居場所はリセットされ、年金不安時代は資産形成も「自己責任」。「人手不足」の号令の下、今日もシニアは働き続ける。『副業おじさん』『過労シニア』のルポライター・若月澪子が、奮闘し続ける令和シニアの素顔を追う。
◇ ◇ ◇
(前編からつづく)
やさしい笑顔を浮かべるCさん(65)は、60歳から年金の繰り上げ受給をしている中高年男性。
Cさんは1980年代の日本の黄金時代に短大を卒業、大手電機メーカーの関連会社に就職した。しかし40歳を過ぎたころにバブル崩壊の余波を受けリストラされ、正社員の職を失った。
「私は終身雇用の時代に社会人になったので、早期退職がこんなに大変だと思っていなかったのです」
その後Cさんは技術系の派遣会社に登録、非正規として10社ほどの派遣先を渡り歩き、コピー機のメンテナンスなど、エンジニア系の仕事をこなしてきたという。
「派遣先の正社員は、私と同じ仕事をしているのに高い給料をもらっていた。私にはこれまで培った技術やプライドがあるのに、なぜこんなことになってしまったのか」
Cさんの妻は家計を支えるためにパートに出て、息子は奨学金を借り大学に進学した。
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