ミスターのミスで星野監督は大笑い 「ピッチャー小野」のコールでブルペンから出てきたのは「河野」だった
「オノ」と「コウノ」。
たしかに発音は似ているがルールはルールだ。 長嶋監督は、
「同じ左だよ、どっちでもたいしたことじゃないよ」
と言うが、そうはいかない。河野もマウンドに上がっていいものかどうか、ベンチ前でウロウロしている。私の聞き間違いか、長嶋監督の言い間違いか、いずれにしろ、ルールでは河野ではなく小野が投げなければならない。
ましてや相手は中日、星野監督だ。長嶋監督の訂正の申し入れを受けたら、どうなるか分からない。
「河野なんか認められない。小野に投げさせろ!」
日頃の星野監督をよく知っているだけに、猛烈な抗議が来るのではと、そーっと三塁側ベンチを見た。するとなんと星野監督が、
「ミスターが間違った、ミスターが間違った」
と大笑いしているではないか。そこで私は星野監督にも了解を取り、長嶋監督の申し出を受け入れて訂正。