工藤公康さんは「バカにされてもいいから」と、自腹を割いて常に“時の最先端”を研究していた
ひとしきりパチンコを打つと、今度は「ステーキ食いに行くぞ。他にも誰か呼ぼうよ」となり、若手投手を呼んで水道橋から六本木まで行ったのも、楽しい思い出です。
そうした遊びもよくしましたが、工藤さんは野球においては自分にも他人にも厳しい人です。監督就任1年目の2015年の優勝は、前任の秋山幸二さんが育てた選手たちの活躍が大きかったのは事実です。でも、その年のオフは「投手陣の練習が足りない」と、自ら練習メニュー作成に案を出し、投手陣を徹底的に鍛え上げた。当時の秋季キャンプは投手が早めに上がり、野手が最後まで練習をしていましたが、工藤さんの改革後は逆転したほどです。
工藤さんの凄いところは、常に最新の知識、技術を自ら体験し、学んでいることです。現役選手に人気のトレーニング施設についても、工藤さんは「俺はあれ嫌いだな。だって、あの施設って結局、上半身の力がメインでしょ? 日本人はもっと下半身を使わないとダメなんだよ」と話していました。そう言えるのも、自腹を切って、その施設のメニューを体験しているから。知らないのに風評だけで判断することはしない人です。