大谷翔平の“前科”「WBC緊急登板」の再来にドジャース首脳陣は戦々恐々
しかし、当初の予定では投手としてはイタリア戦が最後。舞台を米国に移しての準決勝以降は投げないことがあらかじめ決まっていた。当時を知るマスコミ関係者がこう言った。
「WBCにおける選手起用に関しては、所属チームが主導権を握っています。大谷の登板間隔や細かい球数まで、エンゼルスが管理していた。当初は準決勝以降、大谷が投げるプランはなかった。ダルビッシュ(39=パドレス)も同様です。指揮を執る栗山監督はメキシコとの準決勝に駒を進めたものの、大谷とダルが米国で投げられないことで悩んでいた。ところが、準決勝のメキシコ戦の劇的な勝利で状況は変化した。1点ビハインドの九回裏に村上宗隆(26=現ホワイトソックス)の逆転サヨナラ二塁打が飛び出してチームのムードは最高潮に。大谷もダルもここまできたら優勝したい、是が非でも決勝で投げたいと思った。大谷は急きょエンゼルスと連絡を取り、決勝の米国戦での登板の許可を得た。メキシコ戦での勝利が大谷を動かしたのです」
ドジャースが恐れているのは、この緊急登板だという。大谷との話し合いでとりあえずWBCの登板はなくなった。ワールドシリーズ3連覇のかかった重要なシーズンに入る前に大谷の肩肘を酷使することは避けられる。おまけに登板回避は大谷本人の決断だ。
ところが、大谷には予定をひっくり返した“前科”があるうえ、いまやドジャースの看板選手でもある。ロバーツ監督はこの日の会見で、大谷が投げたいと言ったら投げさせたかという質問に、間髪を入れず「もちろんだ」と答えている。ドジャースにとって大谷は、その意思をむげにできない存在なのだ。
大谷はいざ、マウンドに上がると後先考えずに目いっぱい、アクセルを踏むスタンスなのは、だれよりドジャース首脳陣が知っている。昨年の復帰登板で、いきなり160キロの速球を連発したときのことをフリードマン編成本部長は昨年暮れのNHKスペシャルで苦笑交じりにこう語っている。
「あれは感心しなかった。『初登板だし、徐々に行こう』と言うと、彼は『はい、もちろんです』と言ったんだ。なのに、あの投球。彼はいつも勝ちたいんだ」
投げない決断は自身がしたものとはいえ、連覇を目指す侍ジャパンが窮地に陥ったときに「いつも勝ちたい」大谷が果たして、指をくわえたままじっとしていられるだろうか。そんな大谷の性格を熟知しているからこそ、ロバーツ監督は「投げない」とハッキリとクギをさしたようなのだ。


















