著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

パドレス39億ドル売却が示すMLBの現在地 球団経営は“個人オーナー”から投資家グループの“先物取引”へ

公開日: 更新日:

 現在、30球団の価値は毎年平均で10%程度上昇している。理論的には、約7年で価値が倍になるのは、球団の購入に対する潜在的な需要の高さを示す。球団を買おうと考えても対象は30しかないため、売り手が有利な状況にあるからだ。

 そして、球団の価値が高まれば高まるほど、個人や企業が手を出すことは難しくなり、商品の先物取引と同じく売却を前提として購入する投資家グループが経営権を取得しやすくなる。

 高額で球団を購入、しかも有力な選手を集めると短期的には欠損が出るとしても、球団の価値を高めていれば売却時の利益で補填が可能になると考え、より積極的に投資するからである。

 5月2日にパドレスの経営権をサイドラー家がホセ・E・フェリシアーノらの投資家グループに売却することで合意した。正式な承認まで時間がかかるとはいえ、大リーグ史上最高となる約39億ドル(約6240億円)という売却額は、たとえ資産家であっても一人で支払うには躊躇せざるを得ない。

 投資家グループに資産運用会社やヘッジファンドの経営者が名を連ねることは、球団経営が投資の対象であること、そして球団の購入そのものが先物取引の一環であることを物語る。

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