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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

選手会の猛反発必至なのに…大リーグ機構が「年俸総額制」導入を求める2つの背景

公開日: 更新日:

 そして、機構が強気ともいえる態度をとるのは、2013年から選手会を率いてきた専務理事のトニー・クラークが今年2月に辞任したためである。

 選手出身者として初めて選手会の専務理事となったクラークは、交渉には不向きと言われ続けてきた。だが、21年の労使協定の改定の際には経営陣による施設封鎖を受けながら、最低年俸額や贅沢税の課税対象額の引き上げなど、選手側に有利な条件での妥結を導いた。あるいは、22年9月に選手会を全米最大の労働組合連合・アメリカ労働総同盟に加入させるなど、クラークは労働組合の指導者として成果を残した。しかもクラークはサラリーキャップ制の導入に強硬に反対してきた。

 そのクラークが退き、現在はブルース・マイヤーが専務理事代行を務めている。マイヤーは18年に選手会事務局に入り、20年の新型コロナウイルス感染症の拡大の際には、クラークの下で経営陣との折衝の責任者となるなど、労使交渉の実績はある。

 しかし、マイヤーは24年に選手会の一部の執行役員から解任を求められた過去があり、専務理事代行という暫定職であることと合わせ、選手会を完全に掌握しているとは言いがたいのが実情だ。

 こうした状況が機構側の踏み込んだ要求につながった。

 それだけに、マイヤーと執行部が選手会をどこまでまとめ上げられるかは、今後の労使交渉を大きく左右することになる。

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