選手会の猛反発必至なのに…大リーグ機構が「年俸総額制」導入を求める2つの背景
そして、機構が強気ともいえる態度をとるのは、2013年から選手会を率いてきた専務理事のトニー・クラークが今年2月に辞任したためである。
選手出身者として初めて選手会の専務理事となったクラークは、交渉には不向きと言われ続けてきた。だが、21年の労使協定の改定の際には経営陣による施設封鎖を受けながら、最低年俸額や贅沢税の課税対象額の引き上げなど、選手側に有利な条件での妥結を導いた。あるいは、22年9月に選手会を全米最大の労働組合連合・アメリカ労働総同盟に加入させるなど、クラークは労働組合の指導者として成果を残した。しかもクラークはサラリーキャップ制の導入に強硬に反対してきた。
そのクラークが退き、現在はブルース・マイヤーが専務理事代行を務めている。マイヤーは18年に選手会事務局に入り、20年の新型コロナウイルス感染症の拡大の際には、クラークの下で経営陣との折衝の責任者となるなど、労使交渉の実績はある。
しかし、マイヤーは24年に選手会の一部の執行役員から解任を求められた過去があり、専務理事代行という暫定職であることと合わせ、選手会を完全に掌握しているとは言いがたいのが実情だ。
こうした状況が機構側の踏み込んだ要求につながった。
それだけに、マイヤーと執行部が選手会をどこまでまとめ上げられるかは、今後の労使交渉を大きく左右することになる。



















