著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米国で野球がサッカーに負ける可能性も…W杯1.5億人視聴が突きつける現実

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 そのため、米国代表の試合のない日は、熱心なサッカーファンを除けば、テレビでの中継ではなく、球場に足を運び、応援する球団の試合を見ようとする層が多いことを示唆する。

 こうした状況から、大リーグはワールドカップから何ら影響を受けていないようにもみえる。

 だが、当初は今年6月に行う予定であったロンドンでの公式戦(ロンドン・シリーズ)が中止されたのは、ワールドカップの影響であった。

 ロンドン・シリーズの中継を担当するのは、ワールドカップの放送も手掛けるFOXである。そのため、ワールドカップの放送との兼ね合いから予定された日程での中継が困難となり、7月19日に閉幕した後では海外での公式戦の実施が難しくなるという理由から、今回の措置に至っている。

 あるいは、大会期間中の延べ人数であり、比較する内容が異なるとはいえ、FOXが予想する視聴者数1億5000万人という数字が与える影響も大きい。

 テレビ視聴率が低迷を続ける中、昨年は1試合平均で3400万人と1992年以降で最高を記録したワールドシリーズながら、ワールドカップに比べれば中継が見られていないという印象が強まりかねない。

 何より、米国内では、サッカーが野球を抜き、アメリカンフットボールバスケットボールに次ぐ第3位となる調査結果も出ている。

 それだけに、FOXが好調に視聴者を得ていることは、球界にとってサッカーとの地位が固定化する発端になりかねないのである。

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