友人である消防隊ヘリのパイロットが漏らした苦悩「もう、病気になりそうだった」
困る職員を見ても、譲れなかった。
「市長は待ってもらえばいいでしょう。いいから止めてください」
俺はそう言って、バスを止めてもらった。
学校の屋上から見たのは変わり果てた街並み。多くのものをなくし、想像がつかないほど大変な思いをしているのに、こちらに一生懸命手を振ってくれる。そんな人たちを素通りすることはできなかった。
俺には、震災前からの友人に、仙台の消防隊ヘリコプターのパイロットがいた。その友人が震災の後にこう言っていた。
「救助要請があってその現場に行く途中、家や建物の屋根に避難している人が手を振って助けを求めてきた。でも、救助現場に向かっている途中だから、一度そこを通り過ぎないといけない。救助が終わり、『さっき手を振っていた人たちのところへ戻ろう』と言って行くと、もう波にのまれていなくなっていた。……そんなことが何度もあってつらくて、もう、病気になりそうだった」
胸が締め付けられた。


















