「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」渡邉格著

公開日: 更新日:

■「腐らない」経済から「腐る」経済へ

 岡山県でパン屋を営む著者の経営理念は「利潤を出さないこと」。その結論に至るまでの日々を語りながら、自らが実践する「腐る経済」について論じた生き方本。

 著者夫妻は、07年に千葉でパン屋を開業するが、原材料の高騰やリーマン・ショックなど世界経済の荒波に翻弄される。そんな中、父から勧められマルクスの資本論を読んだ氏は、世に出回る「腐らない」食べ物が「食」の値段を下げ、「職」をも安くし、その「安い食」は作り手から技術や尊厳を奪っている事実に気づく。さらに「腐らない」お金が資本主義のおかしさをつくりだしていることにも。そうして行き着いたパン作りにおける「発酵」に学ぶ「腐る経済」を提案。
(講談社 1600円)

【連載】土曜あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因