「女のいない男たち」村上春樹著

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■女を失った男たちの孤独を描く話題の短編集

 村上春樹の久々の短編集。6編の小説には、それぞれの事情で女を失った、もう若くない男たちが登場する。

 ベテラン性格俳優、家福(かふく)は女優だった妻を数年前に亡くしている。妻は生前、夫以外の複数の男たちと関係を持っていた。(「ドライブ・マイ・カー」)
 金にも女にも不自由せずに気ままな独身生活を謳歌(おうか)している中年の整形外科医、渡会(とかい)が、人妻と初めて真剣な恋に落ちた。その恋を失ったとき、彼を待っていた残酷な運命は……。(「独立器官」)

 妻と同僚の不倫現場を目撃。妻と別れ、勤め先も辞めて、ひっそりとバーを営んでいる中年男、木野の周りで、奇妙なことが起こり始める。(「木野」)

 男と女の一筋縄ではいかない関係が、さまざまな角度から男の視線で描かれる。女たちはみな謎をはらみ、男の理解を超えている。そしてある日突然、男の前からいなくなる。
 表題作の主人公は、昔つきあっていた女の自殺を、彼女の夫から深夜の電話で告げられる。彼は思う。

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