「ゆかいな仏教」橋爪大三郎、大澤真幸著

公開日: 更新日:

■ブッダとキリストはどうこがどう違うか

 キリストとブッダとムハンマド。それぞれキリスト教、仏教、イスラム教の開祖だが、実は3者は同列ではない。キリストとブッダは人であり神でもあるという存在だが、ムハンマドはイスラム教の預言者で、神はあくまでアッラーひとりしかいない。逆にいうとキリストとブッダは神なのか人なのか迷う存在なのだ。

 いずれも著名な社会学者ふたりの対談からなる本書によれば、キリストは「神の子」つまり神性を持った存在としてまず生まれ、「聖霊によって乙女マリアに宿り、肉体を得て人となった」という。それに対してゴータマ・シッダールタは初めは人間で、のちに悟りを開いてブッダとなった。つまり順番が逆なのだが、さらにブッダは悟ったあと、ニルヴァーナ(涅槃(ねはん))に入って肉体を失う。つまりこの世界と合一し、人格性が消去した。一方、キリストは死んだあとで復活し、一度なくした肉体を取り戻してから天に昇ったとされる。キリスト教世界ではこの世はすべて神のご意思による、とされるのはこのためなのだ。仏教では自分も成仏して仏になることが目的ゆえ、いわば自分がブッダと同格になることを意味するわけだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」