「患者必読」新見正則著

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 著者はオペラの「椿姫」をマウスに聞かせると移植した心臓への拒否反応が起こらないという研究で、「人を笑わせ、考えさせる業績」に贈られるイグ・ノーベル賞を受賞した外科医。本書では、思い込みを捨てた柔軟な発想で、現代医学の成果を考察している。

 たとえば、近頃論争が起きているコレステロール値。日本脂質栄養学会はコレステロール値は高い方が長生きで、薬で下げる必要はないという論調だ。一方、日本動脈硬化学会は薬を飲んで下げるべきと説いている。著者は、市場原理が働く社会で“薬を使うな”という前者こそ信頼できると言う。実際、アメリカではコレステロール値の測定すらしなくなっているという。

 医療を受ける前に読んでおいて損はない。
(朝日新聞出版 1500円)

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