著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「北斎と応為(上・下)」キャサリン・ゴヴィエ著 モーゲンスタン陽子訳

公開日: 更新日:

 北斎の娘お栄の生涯をカナダ人女性作家が描く歴史小説で、なかなか読ませる。浮世絵の世界を描いた小説は近年、河治和香の「国芳一門浮世絵草紙」シリーズ5巻がまだ記憶に新しい。「侠風むすめ」「あだ惚れ」「鬼振袖」「浮世袋」「命毛」─―すべて小学館文庫だが、負けず劣らず、こちらもいい。

 春画を描くときに北斎は娘たちの「まっ平な胸も、股の裂け目も、全部調べ」てひな型にしたとか、お栄が16のときに式亭三馬の女になったとか、どこまでが事実に基づいているのかどうかはわからないが、実在しながらも生没年不詳の絵師の生涯を鮮やかに描きだしている。

 訳者あとがきによると、この著者は、主人公の日系カナダ人が第2次大戦前夜のデリケートな時期に日本に来て海女になるという設定の小説を本書の前に発表していて、さらに、カナディアンロッキーを舞台にした次回作には日系人のキャラクターが登場するとのこと。日本への関心は本書だけではないようだ。2段組み24ページに及ぶ熱の入った本書の著者あとがきには、そういう「日本への愛」があふれていて、読ませる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相の大誤算!「私の悲願」と豪語の消費税減税に世論「反対」多数の謎解き

  2. 2

    「エプスタイン文書」名前記載日本人のジャニーズ“顧問歴”が波紋…ファンの擁護と芸能界に広がる影響

  3. 3

    国民民主の“お嬢さま候補”が運動員買収容疑で逮捕 自爆招いた強すぎる上昇志向と国政進出への執着心

  4. 4

    高市首相が国民を騙し討ち…選挙公約記載なし「定額働かせ放題」を施政方針演説に突如ねじ込み

  5. 5

    愛子さまの将来に影響を与える高市政権「皇室典範改正案」66歳の誕生日を迎えた天皇陛下は…

  1. 6

    国民が気付いた税収減の危うさ…衆院選“争点つぶし”の副産物「消費税減税反対24.9%」で最多

  2. 7

    大谷翔平のWBC“緊急登板”は本当にないのか?「(自分が投げると)絶対に言う」と栗山英樹前監督

  3. 8

    4月からフリー転身の岩田絵里奈アナに立ちはだかる 「日テレ出身」の不吉なジンクス

  4. 9

    高市首相「コラム全消し」炎上やまず…過去発言の“ほじくり合戦”まで勃発で完全裏目

  5. 10

    和久田麻由子vs岩田絵里奈 "女子アナサバイバル”の勝者はどちらに?