「九月、東京の路上で」加藤直樹著

公開日:  更新日:

 関東大震災で集団的な朝鮮人リンチが東京の各地でおこなわれていたことは知られているが、中身や実態はよく知らないという人が多いだろう。本書はそこに丁寧な光を当てる。

 錦糸町で、亀戸で、品川で、当時は草深い田舎だった世田谷で「朝鮮人が毒薬を井戸に流した」などの流言が飛び交い、リンチで負傷殺害された。のちに読売新聞の社主となる正力松太郎は、当時、特高警察のトップとしてこの流言を信じ、惨劇を拡大させながらも、その後は口をぬぐって他人事を決め込んだという。事実を淡々と列記しながらも、新大久保育ちの著者の悲しみと怒りが行間から伝わる。

(ころから 1800円)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国家公務員ボーナス支給 実は日産ゴーン並みの“過少発表”

  2. 2

    水道民営化で特需か 仏ヴェオリア日本人女性社長の“正体”

  3. 3

    許せないのは金本監督を切った後の阪神の「作法の冷酷」さ

  4. 4

    M-1芸人の暴言騒動で存在感 上沼恵美子の“女帝エピソード”

  5. 5

    日ロ交渉はお先真っ暗…完黙でつけ込まれる河野“無能”外相

  6. 6

    「第2の貴ノ岩」の懸念も…貴乃花が置いていった7人の地雷

  7. 7

    「興味ない」から余計に怖い…上沼恵美子“女帝”たるゆえん

  8. 8

    ついに撤回運動…山手線新駅「高輪ゲートウェイ」変更は?

  9. 9

    お笑い界追放か とろサーモン久保田の“有名だった酒グセ”

  10. 10

    ロシア専門家が警鐘「北方領土問題進展は日本側の幻想」

もっと見る