「ツタンカーメン死後の奇妙な物語」ジョー・マーチャント著、木村博江訳

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 2010年、エジプトの考古局長ザビ・ハウスを中心としたツタンカーメン王家調査プロジェクトによるCTスキャンやDNA鑑定を駆使した調査結果が発表された。

 そこで注目を浴びたのは意外なツタンカーメン像。勇敢な王とされてきたツタンカーメンは、近親結婚による先天性異常を抱えた虚弱体質の持ち主で、死因はマラリアだったというのだ。

 しかし、最終結論としてディスカバリーチャンネルでも放映されたこのセンセーショナルな内容に異議を唱える科学者たちが続出。果たして、ツタンカーメンの真実はどこにあるのか――。

 本書は、海洋考古学から遺伝子工学に至るまで科学ジャーナリストとして実績のある著者が、ツタンカーメンに関する諸説を2年の歳月をかけて検証した一冊。考古学、遺伝学、人類学、放射線学、解剖学、化学、物理学、病理学、医学、歴史学など幅広い専門家の意見やデータを網羅した読み応えのあるノンフィクションとなっている。

(文藝春秋 1950円)

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