「ツタンカーメン死後の奇妙な物語」ジョー・マーチャント著、木村博江訳

公開日: 更新日:

 2010年、エジプトの考古局長ザビ・ハウスを中心としたツタンカーメン王家調査プロジェクトによるCTスキャンやDNA鑑定を駆使した調査結果が発表された。

 そこで注目を浴びたのは意外なツタンカーメン像。勇敢な王とされてきたツタンカーメンは、近親結婚による先天性異常を抱えた虚弱体質の持ち主で、死因はマラリアだったというのだ。

 しかし、最終結論としてディスカバリーチャンネルでも放映されたこのセンセーショナルな内容に異議を唱える科学者たちが続出。果たして、ツタンカーメンの真実はどこにあるのか――。

 本書は、海洋考古学から遺伝子工学に至るまで科学ジャーナリストとして実績のある著者が、ツタンカーメンに関する諸説を2年の歳月をかけて検証した一冊。考古学、遺伝学、人類学、放射線学、解剖学、化学、物理学、病理学、医学、歴史学など幅広い専門家の意見やデータを網羅した読み応えのあるノンフィクションとなっている。

(文藝春秋 1950円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲