第6回角川春樹小説賞受賞 鳴神響一氏に聞く

公開日: 更新日:

 プロ・アマ問わず、長編エンターテインメント小説を公募する「角川春樹小説賞」。第6回の受賞作「私が愛したサムライの娘」は、全選考委員が満場一致でその実力を称賛した、話題の時代小説である。尾張徳川家に仕える甲賀の忍びを描いた超大作だ。

 時代小説といっても、今流行の戦国武将や武家モノでもなく、定番の長屋人情モノでもない。女忍者が密命を全うすべく暗躍する「忍び」の世界を描いた異色作だ。

「確かに忍びモノは流行ではありませんが、無名の人物を書きたかったんですよ。そのほうが自由に書けるかなと。ただ、武家社会に生きる武士では、行動の制約が非常に大きく、自由度が失われる。武術を駆使する忍びであれば、ある種の『闊達さ』も描けるなと思ったんです」

 今は忠義や建前を重んじる武士が持てはやされる時代。果たして忍びの魅力は、どんなところにあるのか。

「天然自然の理に抗わないところかな。自然に逆らうことなく武術を駆使し、自分の身を守る。『名を捨て実を取る』というか。そこが面白いと思いますね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ