第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞した藤崎翔氏に聞く

公開日: 更新日:

 ミステリー作家の狭き登竜門「横溝正史ミステリ大賞」を今年受賞したのは、元芸人だった。受賞作「神様の裏の顔」(KADOKAWA 1500円)は、その笑いのセンスに、選考委員が満場一致で授賞を決めたという。驚愕のラストシーンに至るまで、テンポよく笑いと疑念と人間ドラマを織り込んだ物語は、どのように生まれたのか。その背景と現在の心境を聞いてみた。

 舞台は通夜の席。元教師の坪井誠造(享年68)を慕う人々が大勢集っている。参列者は皆、故人の死を悼み、涙を流す。聖職者である教師のかがみと呼ばれるほどの人格者で、教え子、教師仲間、近隣住民らが皆、「神様のような人だった」と口にする。絵に描いたような善人の死を機に、物語が始まるのが「神様の裏の顔」だ。

「いい人、誰もが認める素晴らしい人格者って、ちょっと怖いですよね?そもそも一面的な人間なんていませんし、誰にでも裏の顔はある。さらにはそんな善人のそばにいる人間も、結構ツライんじゃないかと思いまして。ネルソン・マンデラ氏も世界中で高評価の好人物でしたが、奥さんとうまくいってなかった、なんて話もありますしね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも