「鉄道黄金時代1970's」二村高史著

公開日: 更新日:

 新幹線が岡山、博多へと延び、都市圏や幹線では新型特急が次々と登場する一方で、1000両以上残っていた蒸気機関車が現役を退いていった1970年代は、日本の鉄道が大きな曲がり角を迎えた時代だという。

 この10年を中学生から大学生として過ごした鉄道ファンの著者が、全国津々浦々の鉄道を乗り継ぎながら撮影した写真と、その旅の思い出をつづったビジュアルエッセー。

 当時はまだ北海道に数多く残っていたローカル線のひとつ、中湧別駅から湧別駅までのわずか4.9キロの「湧別支線」や、オホーツク海沿岸を走る「興浜南線」など名寄本線の支線をはじめ、中学2年の時、友人と2人で初めて夜行列車に乗り、当時ブームだった蒸気機関車の撮影に行った只見線、そして山陰本線の鉄道名所「余部鉄橋」撮影の折に出会った花嫁と29年ぶりに再会したエピソードなど。鉄道についてはもちろん、旅先での出会いなどを交えながら、往時の車両や駅舎、鉄道のある風景の写真を紹介。

 インターネットもない時代、時刻表と地図を頼りに、休みのたびに区間内乗り放題の周遊券を使い、宿泊費を節約するために夜行列車で移動しながら、全国の鉄道をくまなく乗り潰してきた著者。ある夏には、7夜を夜行列車で過ごし、2泊10日の鉄道旅を敢行したこともあるそうだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮