日刊ゲンダイDIGITAL

  • facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

「透明カメレオン」道尾秀介氏

 ラジオのパーソナリティーの恭太郎が行きつけのバーで飲んでいた時、びしょ濡れの美女、恵が飛び込んできて、「コースター」とつぶやいた。だが、常連客の百花は「殺した、って言ったんじゃないのかな」。恵の、ウソか本当かわからない話に乗せられて、恭太郎らが〈殺害計画〉に加担させられていくというミステリーだ。

「主人公をラジオのパーソナリティーにしたのは、ラジオが好きなので、作品に使ってみたいという気持ちがあったからです。ラジオ放送の特徴として、音だけで素顔が見えないということがありますが、登場人物の造形として、ここにギャップをつくったらおもしろいなと。声だけだと人はけっこうウソをつけるんですよね。映像だと一瞬で大量の情報を伝えてしまうので、本質の部分が負けてしまう」

 恭太郎は魅力的な声の持ち主だが、ちんちくりんでルックスは全然イケてない。ところがその声に幻惑された恵が、あろうことかゲイバーのホステス、レイカを恭太郎だと思いこむ。〈想像どおり〉の人だと。恭太郎はそれを利用して実像を隠そうとするが、だまされたと知って逆上した恵に、父のかたき討ちに引きずりこまれ、墓地で怪しい人物に追いかけられたり、夜間の山道でライトなしでカーチェイスを繰り広げる羽目になる。そのきっかけになったのは、恭太郎のイメージという、一種のウソなのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事