「日本の『運命』について語ろう」浅田次郎氏

公開日: 更新日:

 西太后はとことん悪い人といわれるが、「そんなことはないだろう」と調べて書いたのが「蒼穹の昴」だ。「一路」では大名行列を素材にした。「下にぃ、下に!」の号令で百姓や町人が土下座したのは徳川御三家だけ。ここにも思い込みがあった。

 会長をつとめる日本ペンクラブは、特定秘密保護法や後藤さん殺害事件で声明を発表している。

「どの国でも、言論の自由が弾圧され、国民が疑問をもたなくなったところから、戦争になります。日本も昭和初年、最悪のカードを間違って引き続けたように、キナくさくなっていきました。偶然の累積は必然になり、国家的な運命になっていきました。その中でぼくたちも生きています。そういう連続性をもって日本の近現代を見なきゃいけないのに、今は政治家も国民も刹那的すぎます。もっと子どもや孫世代のためを考えるのが普通ですよね」

(幻冬舎 1200円+税)

▽あさだ・じろう 1951年東京都生まれ。95年「地下鉄に乗って」で吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員」で直木賞、10年「終わらざる夏」で毎日出版文化賞など受賞。「壬生義士伝」「中原の虹」「プリズンホテル」など著書多数。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  2. 7

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  3. 8

    清原果耶は“格上げ女優”の本領発揮ならず…「初恋DOGs」で浮き彫りになったミスキャスト

  4. 9

    選管議論で総裁選前倒しでも「石破おろし」ならず? 自民党内に漂い始めた“厭戦ムード”の謎解き

  5. 10

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます