「絶対に行けない世界の非公開区域99」ダニエル・スミス著、小野智子、片山美佳子訳

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「ガザの地下トンネルから女王の寝室まで」のサブタイトルが示す通り、選ばれたごくわずかしか立ち入りを許されていない、もしくは何人たりとも許されない非公開の公共の場所を、写真や地図などで案内してくれる面白ガイドブック。

 国家レベルの機密事項を守らなければならない軍事施設や政府機関をはじめ、高度なセキュリティーでデータを守る民間企業や団体の施設、そして謎に包まれた宗教施設など、それぞれの非公開の理由はさまざま。

 ユニークなのは、米国のテキサス州立大学の管理下にある法医人類学研究施設(FARF)。

 大学が所有する10・5万平方メートルもの敷地に人工的に森林や池を造ったこの施設は、野外に放置された人間の死体が分解していく過程を観察し、犯罪科学捜査に役立てる別名「死体農場」なのだ。

 ここは頼まれても訪ねたくない場所だが、掲載された多くは、鉱山の廃坑を利用して地下60メートルに造られた世界トップレベルのデータ管理会社アイロンマウンテン社の保管施設や、サッカーグラウンド4面がすっぽり収まるほどの広さに莫大な金の延べ棒が積み上げられた英イングランド銀行保管庫、災害や絶滅に備え世界中から植物の種を預かっているノルウェーの「スバールバル世界種子貯蔵庫」など、近づくことさえ困難な場所ばかりだ。

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