[和食ブーム]世界遺産になった「和食」が世界中で注目されている。

公開日: 更新日:

[新版 高野山の精進料理]高野山真言宗総本山金剛峯寺監修

 先ごろ世界無形文化遺産に登録された「和食」は、一汁三菜の献立に見た目の美しさ、ヘルシーさ、年中行事との密接なかかわりなどが評価のポイントだった。

 そんな和食のルーツともいうべき精進料理を高野山の年間儀式・行事に合わせて解説する。

 修行僧の朝食は粥、昼は一汁一菜と白米、午後6時に取る薬食と呼ばれる夕食は、昼の献立におかずが数品増えたものと質素。しかし、儀式が終了したあとにねぎらいの意味で客人の僧侶らにふるまわれる“振る舞い料理”は「向皿」から「果物」まで15品あり、料亭の懐石料理にも引けを取らない華やかさ。宿坊の精進料理でも二の膳、三の膳までつき、見た目も鮮やかだ。

 たとえば春なら「春野菜と山菜巾着の炊き合わせ」や山菜の天ぷらなど春の訪れを感じさせる華やかな膳。夏の膳には「冬瓜の冷や鉢」など、体のほてりを鎮める食材を盛り込んである。

 これらはもちろん、肉や卵、魚介類は一切使わず、野菜や豆、豆腐類、海藻のみで作る。「食べたあとに身の内が清らかになるように作る」という精進料理は、季節感、健康、見た目の美しさまで網羅した、まさに「和食」のルーツであり、神髄なのだ。(学研 2600円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝