「美しき一日の終わり」有吉玉青著

公開日: 更新日:

 その朝、美妙は、同居する娘一家が起きてくる前に身支度を整え家を出る。古希を迎えた美妙が杖を頼りにたどりついたのは、数年前まで暮らしていた家だ。荒廃した家は、娘の意向でアパートに建て替えるために取り壊しが決まっていた。間もなく、病院を抜け出してきた秋雨も姿を現す。美妙が15歳のとき、母親を失った腹違いの7歳下の弟を父が引き取った。美妙は戸惑ったが、母に冷たく扱われ、そんな母に気兼ねする父にも持て余されていた秋雨を見かね、次第に心を通い合わすようになる。その日は、55年前、2人が初めて会った日だった。

 お互いを思いながら別々の人生を歩んできた2人の55年間を1日に凝縮した純愛小説。(講談社 870円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」