書き下ろしミステリー編

公開日: 更新日:

「彼女の遺言」新津きよみ著

 主婦の宏美は、早世した親友の啓子の遺品を受け取る。箱から出てきたのは実験ノートと彼女の祖母の手製の梅酢が入った瓶だった。同封の手紙を読むと、小学生時代の2人が共同研究したように梅酢に10円玉を浸すと、硬貨に刻まれた製造年にタイムスリップできるという。ノートには研究職だった啓子がタイムスリップの最適の方法を得るために試行錯誤した跡が記されていた。

 戻ってみたい過去などない宏美だが、後悔していることがひとつだけあった。1年前に長男の清志の結婚を許してしまったことだ。嫁の早苗が、優しい清志につけ込み、暴力をふるっていることを確信した宏美は、1年前に戻ってある計画を実行する。

 切なくも余韻が残る長編サスペンス。(角川春樹事務所 640円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?