「人生最後のご馳走」青山ゆみこ著

公開日: 更新日:

 大阪の「淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院」では、毎週土曜日、患者さんが夕食に好きなメニューをリクエストできる「リクエスト食」と呼ばれる取り組みが行われている。

 末期のがんで余命が2~3カ月と宣告された患者が入院の対象で、成人病棟の平均在院日数は約3週間。同病院へ転院してきた患者たちは、手厚いケアによって心と体の痛みが緩和され、それまでの抗がん剤治療などによって失っていた食事への意欲を取り戻す。

 本書は、人生の最終章を迎えた患者たちの選んだメニューから、その人の生きてきた人生の風景を描き出すビジュアル・ノンフィクション。

 転院して笑顔を取り戻した玉井和代さん(74歳、すい臓がん)は、天ぷらをリクエスト。3人の子どもの育児が落ち着いたころ、スーパーのレジでパートを始め定年まで続けた。いつも時間に追われていたため、自然と料理の手際がよくなり、子どもたちが育ち盛りのころは天ぷらを山のように揚げたという。揚げても揚げてもお皿から消えていく感じで、揚げているうちに自分はお腹いっぱいになってしまったと。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る