ドローン・オブ・ウォー

公開日: 更新日:

 ちかごろ話題のドローン(無人航空機)。先々週封切られたアンドルー・ニコル監督の「ドローン・オブ・ウォー」はこのドローンが与える戦争の恐怖を描いた映画だ。

 主人公はイーサン・ホーク演じる米空軍の戦闘機パイロット。トップガン型のヒコーキ野郎だが、いまは歓楽都市ラスベガスの郊外にある基地でドローン爆撃隊に所属。そこからアフガン上空のドローンを遠隔操作し、タリバンの拠点を連日空爆するのが任務。高空からカメラで標的を視認し、空対地ヘルファイア・ミサイルで仕留める。終われば車で妻と子どもの待つ家に帰るだけの日常。

 戦地で子どもを誤爆するのも避けられない任務と、日常のあまりのギャップに悩まされ、彼はしだいに心を病んでゆくのだ。対テロ戦争時代の戦争映画の多くが抑うつ状態の兵士たちを描いているが、本作もその典型だろう。

 P・W・シンガー著「ロボット兵士の戦争」(NHK出版 3400円+税)がいうように、現代の戦闘とは「毎日トヨタのカムリに乗って通勤し、コンピューターの前に座ってマウスを動かすこと」なのだ。ちなみに最近人気のラジコン玩具ドローンが世界中で爆発的に普及したのは、大阪の機械メーカー「キーエンス」が開発したジャイロセンサーがきっかけ。同社は世界的な優良メーカーで営業力も強く、紹介本が多数出ている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性