巨匠ヴィム・ヴェンダースの最新作「セバスチャン・サルガド」

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 貧困や搾取や紛争などで苦しむ人々は、えてして世間から目を背けられる存在としてあつかわれるものだ。ところがそんな人々の姿を、文字通り「目の離せない」存在として描き出す写真家が、現在都内公開中のドキュメンタリー映画「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」の“主役”サルガドだ。

 彼の作風を集約するのは光と影のコントラストの強い独特のモノクローム画面。監督に当たったのは自身もモノクローム映画「ベルリン・天使の詩」で知られた巨匠ヴィム・ヴェンダースだが、地域紛争に巻き込まれて盲目となった北アフリカ遊牧民の女性のポートレートに強烈に惹かれたことが製作のきっかけだったという。

 他方、サルガドはしばしば途方もなく広くて高い視点から被写体を捉える雄渾な撮影術でも知られ、ブラジルの鉱山を撮った有名な作品は映画でも紹介される。さながらアリの群れのような人々の姿が、逆に彼らの強いられる過酷な労働を直感させる。彼の写真は醜悪な世界で苦しむ人々の姿を食い入るように見つめる自分自身を意識させるのだ。

 A・クラインマンほか「他者の苦しみへの責任」(みすず書房 3400円)は、「苦しみの映像」をジャーナリズムの商品として流通させる報道写真を冒頭で論じたアメリカの人類学者らの論文集。人道が商品に化ける瞬間を鋭くえぐり出している。〈生井英考〉

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