この本が書くあなたへの罵倒を乗り越えられるか

公開日: 更新日:

「田舎暮らしに殺されない法」丸山健二著 朝日新聞出版 560円

 最近、「移住」が注目されている。移住専門の雑誌が存在したり、日本全国の各自治体が移住者を募るほか、移住生活がいかに素晴らしいものに満ちているかをリポートする「人生の楽園」(テレビ朝日系)が高視聴率を叩き出し続けていることなどに表れている。

 都会で疲れた定年夫婦が田舎暮らしに憧れる気持ちは分かる。ソバでも打って、家庭菜園で新鮮な野菜を作り、地元の人と心と心の触れ合いをしたい――そんな甘美なイメージが「田舎暮らし」「移住」には漂っている。

 2008年に発売された本書(文庫版は2011年)はそういった幻想を根本から叩き潰す本である。筆者は東京暮らしの後、故郷・長野県に戻った経験を持つが、これでもか、とばかりに田舎暮らしがはらむ煩わしさや危険性、陰湿さを述べる。引っ越してきた直後にはウサギの死骸を庭に投げつけられたことなど、悲惨なエピソードを紹介。さらには強盗が襲ってくるから武器を用意し、相手を攻撃せよ、とまで述べるほどである。

 本書のアマゾンのカスタマーレビューを読むと、評価が極端である。★5つや★4つの高評価は多いものの、★1つもそれなりにある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも