肩から力が抜けたアナキズム研究者

公開日:  更新日:

「現代暴力論『あばれる力』を取り戻す」栗原康著

 アナキスト・大杉栄を研究する著者による書である。原発や国家、警察権力といったものが個人を征服し、我々はそこに隷属している、と述べる。税金を逃れることはできないし、警察官から職務質問を受けた場合に逃げようとすると「何かやましいことがあるのですか?」と言われ、周囲からも不審者扱いされてしまう。こうした暴力装置の前に個人など無力であることを嘆き、社会の風潮が個を抑圧することも語る。そして、その状態に対して疑問を抱くことが真っ当であるといった主張をする(と読み解ける)。オレたちは隷属的でなくてもいい! さぁ、立ち上がるぞ!不当な支配から脱却だ! 求む!

 現代のジャンヌ・ダルク! と、学生運動を経験したオッサンなんかはここまで読むと一瞬そう感じるかもしれないが、まったく違う。

 本書は真面目に暴力や国家権力、自由恋愛の是非に原発などを論じてはいるものの、別の側面が随所に感じられる。それは、ひらがなの多さと、あまりにも自虐的な文体に表れている。ここから感じられるのは太宰治的な「生れて、すみません」論法である。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    長野以外にGベテランリスト漏れ 広島“ポロリ発言”の波紋

  2. 2

    巨人ナインに深刻“長野ロス”…超気配り男の逸話伝説も数々

  3. 3

    裏交渉も暴露され…ロシア人も哀れむ安倍政権“土下座”外交

  4. 4

    自公3分の2圧勝シナリオ 1.28通常国会“冒頭解散説”急浮上

  5. 5

    海老蔵は“秒読み”? 没イチ男性が死別再婚する時の注意点

  6. 6

    仏当局捜査“飛び火”か 五輪裏金疑惑で日本政界が戦々恐々

  7. 7

    また生え抜き看板…巨人“大チョンボ”長野流出の真相と波紋

  8. 8

    初登場G球場で“孤独トレ” 丸は巨人で「我」を貫けるのか

  9. 9

    アニキが勧誘も…前広島・新井が「阪神コーチ」断っていた

  10. 10

    経団連会長が転換 「原発どんどん再稼働」に飛び交う憶測

もっと見る