日刊ゲンダイDIGITAL

  • facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

肩から力が抜けたアナキズム研究者

「現代暴力論『あばれる力』を取り戻す」栗原康著

 アナキスト・大杉栄を研究する著者による書である。原発や国家、警察権力といったものが個人を征服し、我々はそこに隷属している、と述べる。税金を逃れることはできないし、警察官から職務質問を受けた場合に逃げようとすると「何かやましいことがあるのですか?」と言われ、周囲からも不審者扱いされてしまう。こうした暴力装置の前に個人など無力であることを嘆き、社会の風潮が個を抑圧することも語る。そして、その状態に対して疑問を抱くことが真っ当であるといった主張をする(と読み解ける)。オレたちは隷属的でなくてもいい! さぁ、立ち上がるぞ!不当な支配から脱却だ! 求む!

 現代のジャンヌ・ダルク! と、学生運動を経験したオッサンなんかはここまで読むと一瞬そう感じるかもしれないが、まったく違う。

 本書は真面目に暴力や国家権力、自由恋愛の是非に原発などを論じてはいるものの、別の側面が随所に感じられる。それは、ひらがなの多さと、あまりにも自虐的な文体に表れている。ここから感じられるのは太宰治的な「生れて、すみません」論法である。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事