肩から力が抜けたアナキズム研究者

公開日: 更新日:

「現代暴力論『あばれる力』を取り戻す」栗原康著

 アナキスト・大杉栄を研究する著者による書である。原発や国家、警察権力といったものが個人を征服し、我々はそこに隷属している、と述べる。税金を逃れることはできないし、警察官から職務質問を受けた場合に逃げようとすると「何かやましいことがあるのですか?」と言われ、周囲からも不審者扱いされてしまう。こうした暴力装置の前に個人など無力であることを嘆き、社会の風潮が個を抑圧することも語る。そして、その状態に対して疑問を抱くことが真っ当であるといった主張をする(と読み解ける)。オレたちは隷属的でなくてもいい! さぁ、立ち上がるぞ!不当な支配から脱却だ! 求む!

 現代のジャンヌ・ダルク! と、学生運動を経験したオッサンなんかはここまで読むと一瞬そう感じるかもしれないが、まったく違う。

 本書は真面目に暴力や国家権力、自由恋愛の是非に原発などを論じてはいるものの、別の側面が随所に感じられる。それは、ひらがなの多さと、あまりにも自虐的な文体に表れている。ここから感じられるのは太宰治的な「生れて、すみません」論法である。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  3. 3

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  4. 4

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  5. 5

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  1. 6

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 7

    ロッテ前監督・吉井理人氏が2023年WBCを語る「大谷とダルのリリーフ登板は準決勝後に決まった」

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    ドラマー神保彰さん ミュージシャンになるきっかけは渋谷109オープンだった

  5. 10

    ロッテ吉井理人監督の意外な「激情時代」 コーチの延々続く説教中に箸をバーン!殴りかからん勢いで…