【ニッポンを知る 】右旋回を続けるニッポン。その姿を多方面から検証しよう。

公開日: 更新日:

「日米の教科書 当時の新聞でくらべる太平洋戦争」辰巳出版著

 戦争を敵味方双方の立場から見比べる。かつてアメリカの日本史学者ジョン・ダワーが使った方法をシンプルに応用したのが本書。日米の歴史教科書の記述を比べ、また当時の新聞を並べて双方の見方の違いを探るのだ。

 たとえば真珠湾。「リメンバー・パールハーバー」の文句は有名だが、現在の米教科書はことさら敵意ある表現は使わず歴史的事実を記す。日本側も同じく米太平洋艦隊の主力を全滅させた事実だけを淡々と記述する。つまり対称的だ。他方、特攻隊について日本の教科書はほとんど触れないが、米教科書ではかなり詳しく記した上に「日本軍のパイロットが国のために身を捧げる姿は称賛に値する」という体験者の談話まで引いたりしているという。予想外の非対称に驚かされる。(辰巳出版 1200円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑