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「軍隊とスポーツの近代」高嶋航著

 戦前戦中の高校野球を描いた映画などを見ると決まって軍が野球を敵性遊戯あつかいで目の敵にする場面が出てくる。だが、実は旧軍こそが日本における野球の普及発展に尽力した組織だったのだ。本書はそんな知られざる日本スポーツ史を軍隊の側から調べ上げて論じた好著。

 れっきとした学術書だが、シロウトにも実に面白い。野球好きの俳人・正岡子規と旧制中学で同級生だった海軍の秋山真之も野球好きで、この伝統は明治の海軍兵学寮にまでさかのぼるという。特に兵学寮の改組で生まれた海軍機関学校は野球もラグビーもサッカーも盛んで、ガリ勉ぞろいの海軍兵学校を尻目にイギリスのパブリックスクール流のエリート健児精神を盛んにしていたという。この軍の伝統からやがて大学野球、ついで高校野球が盛んになったのだ。

 他方、陸軍はスポーツ擁護派と敵視派に分かれ、それは軍の強化をめぐる認識の違いとも関わっていた。精神主義に凝り固まって「玉砕の軍隊」へと突っ走った歴史はこのスポーツ敵視から生まれたのである。(青弓社 3400円+税)

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