【受け継がれる戦争体験】直接の体験者の数が年々減少し、戦争体験が空洞化しようとしている。テロの世紀にこそ、戦争体験の継承が必要だ。

公開日:  更新日:

「兵士とセックス」メアリー・ルイーズ・ロバーツ著、西川美樹訳

 何千何万の若いGIが我が物顔であたりを歩き回り、現地の若い娘がその首っ玉にかじりつく。ドラマに出てくるパンパン・ガールの典型的な姿だが、実はこの光景、日本だけの話ではなかった。ドイツ軍の占領下から解放されたフランスの各地で見られた、いやそう思われたのだ。

 本書は第2次大戦期のフランスにおけるアメリカ兵たちの性的行動をテーマとした社会史。著者はフランス史が専門のアメリカ人女性歴史学者。その観点はフランスに駐留するアメリカの兵隊たちが頭の中に思い描いていた性的幻想の内実を明らかにすること。もともと性的にオープンという紋切り型のフランス女性のイメージが兵隊向けの軍の新聞では幾倍にも増幅され、レイプに走る男たちの自己正当化の根拠にさえなった。「フランスの女の子たちは美人で、しかもお手軽だ」。こんな思い込みを脳裏に詰め込んだ、若くたくましく精力を持て余した男たち。ジェンダー論の観点から書かれた、いわば“フランス版従軍慰安婦論”の労作である。(明石書店 3200円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “年金博士”警鐘 支給年齢「68歳引き上げ」が意味すること

  2. 2

    早とちり小池知事…都が鑑定の“バンクシー作品”には型紙が

  3. 3

    地方は“安倍自民NO” 高知新聞「内閣支持率26%」の衝撃

  4. 4

    JOC会長を猛批判 小池知事に長男・竹田恒泰氏との“因縁”

  5. 5

    広島対策は“丸投げ”? 巨人スタッフ会議で投打コーチ言及

  6. 6

    常盤貴子「グッドワイフ」上昇のカギは美魔女の輝きと気概

  7. 7

    巨人は先発6人以外“全員中継ぎ” 勝利の方程式を追加構想

  8. 8

    年商200億円の深キョン新恋人 “ホコリだらけ”の女性遍歴

  9. 9

    ドラ1左腕も“被害者”か…岩隈加入で巨人若手が行き場失う

  10. 10

    ボールの下にバットを入れる“ホームラン打法”に対する誤解

もっと見る