読む人を物語世界に誘う長編小説特集

公開日: 更新日:

「チャンキ」森達也著

 2033年、奇妙な自殺〈タナトス〉が蔓延していた。結婚が決まったばかりとか、死ぬ理由がまったくない人間が突然、衝動的に自殺する。しかも、それは日本だけだった。高3のチャンキの周辺でも自殺者が相次いでいた。チャンキは休職中の教師に「タナトスについて日本人はもっと考えるべきだ」と言われ、教師がヒントがあると言ったカメ地区に、ガールフレンドの梨恵子と行ってみる。そこは不良外国人といわれる人たちのコミューンとなっていたが、廃線になったはずの駅になぜか電車がやって来て、扉が閉まる直前に2人は乗り込む。カメ地区で知り合った外国人たちは、それぞれに信仰をもっていた。〈タナトス〉は信仰をもたない日本人へのペナルティーなのか?

 気鋭の映像作家が排他的な近未来の日本をリアルに描いた初の長編小説。(新潮社 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  2. 2

    「備蓄米ブーム」が完全終了…“進次郎効果”も消滅で、店頭では大量の在庫のお寒い現状

  3. 3

    小芝風花&森川葵はナゼ外れた? 来秋朝ドラ「ばけばけ」ヒロインを髙石あかりが射止めた舞台裏

  4. 4

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  5. 5

    参政党のあきれるデタラメのゴマカシ連発…本名公表のさや氏も改憲草案ではアウトだった

  1. 6

    阿部巨人が今オフFA補強で狙うは…“複数年蹴った”中日・柳裕也と、あのオンカジ選手

  2. 7

    さや氏の過去と素顔が次々と…音楽家の夫、同志の女優、参政党シンボルの“裏の顔”

  3. 8

    参政党さや氏にドロドロ略奪婚報道の洗礼…同じく芸能界出身の三原じゅん子議員と“お騒がせ”な共通点が

  4. 9

    ドジャース大谷翔平「絶対的な発言力」でMLB球宴どころかオリンピックまで変える勢い

  5. 10

    自民党を待ち受ける大混乱…石破首相は“針のムシロ”のはずが、SNSでは〈#やめるな〉が急拡大