読む人を物語世界に誘う長編小説特集

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「冬の光」篠田節子著

 四国遍路に行っていた父が、帰りのフェリーで自殺した。父は結婚後も、学生時代に同級生だった研究者・笹岡紘子と関係を続け、母との人間関係は崩壊していた。母と姉に責められて、紘子とは別れたはずだったが、死後に届いた紘子の勤務先の女子大からの通知で、父の裏切りが発覚した。紘子は東日本大震災で死亡していた。父が東北にボランティアに行っていたのは紘子のためだったのか。次女の碧は、父が遺したビジネスダイアリーのメモを見て父の遍路の旅をたどり、父が女連れだったことを知ってショックを受ける。だが、父は逆風に身をさらすような生き方をした紘子を愛し続けていたのだった。

 娘の目に映った父の不実と、父の真実との乖離が胸を打つ。(文藝春秋 1650円+税)

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