「心が折れる職場」見波利幸著

公開日: 更新日:

 日本全国に衝撃を与えた、電通の過労自殺事件。月100時間超の残業、上司のパワハラで24歳の女性が命を絶った。この事件を受けて、電通のみならず、残業時間を見直す企業は増えている。

「確かに必要な睡眠時間が取れないような、一定のラインを越える過重労働は阻止すべきです。では残業時間を減らし、パワハラがなくなれば職場でのストレスに悩まなくなるのかというと、そんな簡単な問題ではないですね」

 カウンセラーとして数々の問題職場を見てきた著者が、「心が折れる職場」の原因をひもとき、解説した本書。さまざまな職種の事例が紹介されており、例えば一般に指摘されている、教師のストレスはモンスターペアレント、システムエンジニア(SE)は長時間労働といわれているが、必ずしも本質的な原因ではない、と著者は主張する。

「教師の場合、モンスターペアレントに担任教師ひとりで対峙させる教頭や学年主任らが問題にされますが、担任から相談された場合、『それはあなたが解決する問題だ』と突き放さず、一緒に解決策を考え、それでも事態が好転しなければ、『今度は私も一緒に行くから』とすれば、教師が感じるストレスも軽減されるはずです。SEの場合でも長時間労働よりは、むしろスキル不足がストレスの原因になっている場合が多いんです。なにしろテクノロジーの進歩は日進月歩。プログラミングはセンスも必要です。仕事に必要なスキルが備わっていないと自覚しているSEほど、心理的に追い込まれているのです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは