「豆大福と珈琲」片岡義男著

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 コーヒーは、間違いなく成熟した大人の飲み物である。それを改めて感じさせる短編小説集だ。新聞で連載した表題作「豆大福と珈琲」では、洒脱かつ合理的な男女関係が描かれている。深煎り豆のコーヒーに豆大福は好相性という暗喩はすてきだ。「穏やかに、たおやかに、でこぼこしている豆大福」は魅惑的でエロチックでもある。コーヒーは距離を縮めるスパイスである半面、一定の距離を保つアイテムでもあると痛感。男女の心の機微を描く名手が紡ぐ全5編だが、最後の1編には小さな仕掛けも。

 できれば、コーヒーの香りが漂う喫茶店で読みたい。(朝日新聞出版 1700円+税)


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