アメリカ社会に激震 米大統領で本当に負けたのは誰か?

公開日: 更新日:

■リベラルの敗北

 あまりに意外な結末に終わった米大統領選。でも負けたのは本当は誰なのか。敗者はヒラリーだが、実はリベラルも保守も、メディアまでもが総くずれで負けたのではないか。

 まずリベラルの敗北については渡辺将人著「アメリカ政治の壁」(岩波書店 860円+税)。「オバマの8年がなぜ期待通りにいかなかったのか」を一般向けに解き明かした好著です。

 民主党が大勢力になったのはニューディールの大不況時代だが、経済だけを軸に南部白人、カトリック、労組、アフリカ系などばらばらの集団をひとまとめにしたニューディールは典型的な「利益の政治」で、その弱者救済には実は「理念」はなかった。それゆえ60年代の公民権運動やフェミニズムなど「理念」優先の運動が広まるにつれて民主党のリベラリズムは急速に分裂してしまいました。

 著者は元テレビ記者で、民主党の大物女性議員事務所で働いた経験もある若手政治学者。現場を知る立場から、サンダース支持者の弱点(後述)なども指摘しています。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省と自治体に一喝された過去

  2. 2

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  3. 3

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  4. 4

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  5. 5

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  1. 6

    清水賢治社長のセクハラ疑惑で掘り起こされるフジテレビの闇…「今日からシリケン」と“お触り続行”の過去

  2. 7

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  3. 8

    千葉を「戦国」たらしめる“超過密日程”は今年の我が専大松戸に追い風になる手応えを感じています

  4. 9

    趣里はバレエ留学後に旧大検に合格 役者志望が多い明治学院大文学部芸術学科に進学

  5. 10

    参政党が参院選で急伸の不気味…首都圏選挙区で自公国が「当選圏外」にはじかれる大異変