「寺内奉行検断状」小泉盧生著
自治が認められている京都の東西両本願寺は、寺内町を治めるため寺内奉行を設置。町外の犯罪人も、寺内町にひとたび足を踏み入れれば、寺内奉行の管轄下に入ったとみなされ、京都所司代から「検断状」の交付を受けた目付によって、どこまでも追われることになる。ある日、寺内奉行目付の荘十郎は、検断状を受け取る。丹波篠山で租税軽減を訴える強訴が起き、藩庁に拒否されたため、江戸に直訴に向かう途中の村人3人が、寺内町の旅籠に逗留中だというのだ。荘十郎は3人を斬るか、追っ手の篠山藩士に引き渡すよう命じられる。3人のうち1人は11~12歳の子どもだという。(「丹波の小壺」)
人情あふれる寺内奉行目付の荘十郎の活躍を描く時代連作集。(徳間書店 660円+税)