「暗闘」山口敬之著

公開日: 更新日:

 安倍政権の内幕を描いた前作、「総理」の続編ともいえるスクープ・ノンフィクション。今回は安倍外交に焦点を当てている。著者はTBS報道局、政治部、ワシントン支局長などを歴任したフリージャーナリスト。最近はテレビの報道番組にコメンテーターとしてよく登場している。

 安倍総理が、大統領就任前のトランプといち早く会談を行ったのはなぜか。クリントン優勢が伝えられるなか、水面下でどんな動きがあったのか。日米双方のキーマンは誰か。

 世界初のトランプ会談をはじめ、北方領土をめぐるプーチンとの日ロ交渉、真珠湾訪問など、外交の重要な局面で安倍総理は何を考え、何を目指したのか。メディアが報じない外交の舞台裏を綿密な取材に基づいて書いている。

 タイトルの「暗闘」の相手は外務官僚。外交の「官邸直轄」と「多層的アプローチ」を目指す安倍政権は、外務官僚の言いなりには動かない。官邸主導でトップ同士の人間関係構築に力点を置いている。外務省は面白くないから、軋轢が生じる。実はこの軋轢は根深く、拉致問題や北方領土問題とも関係している。

 安倍外交の手法は吉と出るか、凶と出るか。暗闘の先行きは見えない。(幻冬舎 1500円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑